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ネーザル・サイクル=交代性鼻閉

風邪などで鼻が詰まっている時を除いて両方の鼻の穴(鼻孔)で呼吸をしていると思っていたのだが、実は違う(多くの人において)。

実際には左右の鼻の穴(鼻孔)の一方が使われており、数時間おきに左右が切り替わっているという。これをネーザル・サイクル(Nasal Cycle)と呼ぶ。日本語では「交代性鼻閉」になる。これは生理現象なので病気ではない(ずっと詰まりっぱなしだったらこれには当たらない)。

図で見るとわかりやすい。

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turbinate
鼻甲介
congestion
鬱血・詰まること
Nasal septum
鼻中隔

この図では左側が開いていて、右側が閉じている。濃いグレーで示されているところが充血して膨張した部位になる(鼻甲介)。この充血・膨張は自律神経によって制御されている。Wikipedia (英語) によるとあれの勃起と同じ原理で膨張しているとある。左右の切り替えのサイクルは2時間半〜で人や年齢による。風邪で詰まっている場合と異なり、これによる詰まりは不快感がなく気がつかない。また、閉じている側も完全に詰まっているわけではない。

ネーザル・サイクルがみられるのは80%の人であって、全員ではない。

なぜネーザル・サイクルがあるのか

結論は出ていない。いくつかの見解がある。

  • 詰まらせた側の鼻腔のメンテナンス時間(嗅上皮などの細胞の再生)
  • 嗅覚の休憩 (嗅覚は寝ている間も働く)
  • 空気を通さないことで保湿する(いざという時に呼吸した空気を加湿できる状態を維持する)
  • 識別し難い臭いを識別するため(詰まらせた側でも多少の空気が通るがゆっくりになる。これによりスーっと空気が通り過ぎてしまうと嗅覚が認識できない臭いも認識できる(認識するのに十分な量の臭い分子が嗅上皮に付着する))
  • 睡眠中の寝返りを促す(床側が詰まる)

鼻の穴が二つあることの理由

目と同じ様に二つを使うことで方向を認識できる動物もいる。人間の場合は視覚の発達とともに嗅覚はモノラルになってしまった。
抜粋元: 鼻の穴は何故二つある?;モグラに学ぶ太古の名残 - 機能性アロマソサエティ

鼻の穴が二つであることに対しては、色々解釈されています。たとえば、片方ずつの鼻孔を効率よく使うため、片方は非常事態に備えるスペアのため、鼻腔の表面積を拡大させるため、発生学的に左右対称で二つになるため、などなどです。

今でも生存(捕食や外敵回避)のため、嗅覚でステレオ認識している動物がいます。それはモグラです。最近米国の生物学者が、モグラが匂いを立体的に把握していることを明らかにしました。餌となるミミズを見えないようにしたケ-ジの中でも、ミミズは迷うことなく5秒以内に一直線にミミズに向いますが、片方の鼻孔をふさぐと迷ってしまうそうです。ヒトと反対に、モグラは視覚が弱い代わりに、嗅覚が発達したと思われます。